これは私が経験した、本当にあった怖い話です。



あれは先週水曜日(10月10日)の夜遅くのこと。
久しぶりにプットオプションを売り建てようと、証券会社のサイトにログインして夜間取引の値動きを見ていました。
知っている人も多いと思いますが、極端に権利行使価格の低いプットオプション(いわゆるクズプット)を売り建てると、かなりの勝率で小遣い稼ぎが出来るのです。
現に私はこの方法で、今年すでに90万円以上の利益を出していました。

しかし万が一、日経平均が権利行使価格を割るような事態になったら、もう悲惨です。
レバレッジ1000倍ですから、たった1円下回るごとに1000円の損失になります。
しかもクズプットは値段が安いため、こういった小遣い稼ぎをする人は多数のオプションを売るのが普通です。
御多分に漏れず私も50枚売り建てました。
ということは1円下回るだけで5万円の損になります。100円下回れば500万円、200円下回れば1000万円!
想像するだけで失禁しそうになります。


なお、私が売り建てたのは、2018年10月限の21,750円のプットオプションです。
SQ日は12日なので、この日の夜と木曜日さえ乗り切れば権利消滅して、やすやすと5万円のお小遣いを得るはずでした。


日経平均はこの日の大引けが23,506円で、10月2日の高値(24,448円)からすでに1,000円近くも下がっていました。
そして私が夜間に売り建てた時、日経先物は恐らく23,300円ほどだったと思います。
という事は、あと1,500円は下がっても大丈夫な計算です。
なお、NYダウはこの時点で前日比-200ドルほどの、26,200ドルほどだったと記憶しています。

「大した材料があるわけでもないし、1日半でそんなに下がるわけないだろう」と考えていました。







が!!




この直後から私は地獄を見ることになります。



それまで-200ドル(26,200ドル)近辺で小康状態を保っていたNYダウが、売り建てた後からみるみる内に下がっていきました。
一気に26,100ドルを割って、26,050~26,100ドルほどをうろうろするようになりました。
前日比で言うと、マイナス300数十ドルほどです。


この時点でまだそれほど切迫感はありませんでした。
21,750円までは全然余裕があると思ったからです。
おぉ~、NY結構下がっているなー、頼むから明日は上げてくれよ、という程度です。
次の日も仕事があるため、この日はPCを閉じてベッドに入りました。




秋も深まりめっきり気温が下がってきた今日この頃、久しぶりに温かい布団にくるまって寝ようとしました。
しかし何故でしょう、何か嫌な予感がするのです。
しばらくベッドの中で中々寝付けずにいました。
私は睡眠時間が短いため、大抵はベッドに入ったらすぐ寝ることができます。
それがこの日に限っては目が冴えて寝られないのです。


私はスマホを目覚まし時計に利用しているので、いつも枕元に置いています。
とうとう我慢しきれずに、真っ暗な部屋の中、手探りでスマホを取ってNYダウをチェックしました。
そして見てはいけないものを見てしまったのです。











NYダウ 前日比 -500ドル超




その瞬間から心拍数が急上昇し、動悸が止まらなくなりました。
手が震え、生唾を何度も飲み込みました。
ひょっとしてまずいことになりつつあるのではないか?
嫌な予感が的中してしまうのか…

その時にプットオプションの値段がいくらだったかって?
それは分かりません。怖くて見られませんでしたので。


これ以上スマホを持つのは危険だと体からのSOSを感じ取った私は、翌日の仕事のことも考え、無理やり画面を閉じて寝ようとしました。
このような状況で寝られるはずもなく、しばらく唸り声をあげながら悶々とした後、ふと薄目を開けるとカーテン越しに窓がうっすら明るくなっているのが分かりました。



翌朝(と言っても数時間後ですが)、無機的な目覚ましの音で体を起こした私は、反射的にスマホでNYダウをチェックしました。
その行為は決して私の意思ではなく、完全に動物の本能そのものでした。
そして映し出された画面を見てフリーズしたのを覚えています。
フリーズと言っても、もちろんスマホが固まったわけではありません。
私自身がフリーズしてしまったのです。












NYダウ
 25,598.74ドル
 前日比 -831.83ドル(-3.15%)

日経平均先物
 22,770円
 前日比 -760円 (-3.23%)




私はまるで認知症患者のように、事態を正常に把握することが出来ませんでした。
何が起きているのか、理解できなかったのです。
そしてしばらくスマホを右手に持ったまま茫然としたあと、卒倒しそうになりました。



続く